2005年回顧録2

早速第二回。
これは基本的に前の日記(このブログではなく上記HPでつけてた頃のものを含む)の再構成でもある。一から書いてる時間が無いのと、大筋の感想は変わっていないというのが最大の理由。

姉☆孕みっくす〜姉&死神お姉さんと一週間〜(Lilith

なにげにやたら姉の絡む作品が多いLilithの2k廉価ソフトシリーズ。
安いだけあって選択肢は二回しかなく、最後の選択肢一回でEDが分岐するだけ。
ゲームと呼べるかどうかも疑問なレベルだが、この表現形態自体は便利なものなのでそれはどうでもいい。問題は中身。


姉孕ませADVと言うからには死神の「誰かを孕ませないと死ぬ」宣告という大義名分の下で強気なお姉ちゃんをひたすら中で責めて孕ませるのが主題であり最重要課題なのに、最初から死神の魅奈に浮気する気全開。そして早々に魅奈を丸め込んで行為に及んでからはそのあたりのいざこざが中心になってしまう。その死神の魅奈も設定上は100歳超えているが、「〜姉&死神お姉さんと一週間〜」というタイトルのわりにはお姉さんぽくない。
さらに姉弟関係における背徳性は極めて薄いし、姉だけが義理の姉弟である事を知っているという設定もあまり意味が無いどころか本編でまったく触れられてすらいないという有様。
だいたい急いで姉を孕ませないと死ぬというのに、この阿呆主人公は無駄遣いしすぎ。(色々と)


つまるところタイトルから吾輩の期待したものが足りないのだ。


2kでただでさえ制約が大きいのに多数の要素を入れようとした結果どれも中途半端になった感が否めない。魅奈は出すにしても御都合主義的に絡ませるくらいでよかった。瞳姉自体は悪くないし、序盤のペースでひたすら中(検閲削除)特化姉ゲームとして作ってくれれば名作と呼べただろうに惜しいところである。


2がもうじき発売予定ということで、より純粋特化した出来になることを期待したい。

秋色恋華(Purple)

Purpleが今年初頭に出したゲーム。
なにげにFDまで出されるくらい*1人気らしいけれどそちらは買っていない。


初っ端に各キャラについて

  • 世良香澄 級長の牛丼好きお嬢。年上ではないがかなり好き。
  • 佐川英里子 幼馴染先生。最初から関係隠す気ゼロとしか思えない。
  • 戸倉真由 不愛想系バイト娘。男にだけ無愛想な理由がよく分からなかった。
  • 南条伊吹 トップランクテニスプレイヤーいむむ。キャラとしては一番面白い。
  • 新山葵 駆け出しアイドル妹。というかわさび。ラストの演出は技術面から見てちょっと蛇足。
  • 伊吹のコーチ 出番少なすぎ。
  • 妹のマネージャー 不憫なふーみん。妹よりこちらの方がっっっ。



吾輩の周りで妙に評判がよかったためやってみたのだが、やはりPurpleということで予想通りにシナリオは薄かった。


たとえば香澄シナリオ。これ一言で言うと牛丼作った後家出する話である。
これ進行中に思い出したということで「雪桜」を引き合いに出すと、ほぼ同じような理由で家出する玲先輩シナリオでは非常に青臭いながらもきちんと解決のための行動に出るところまで進むという過程が最後の詰めだったのに対して、香澄シナリオは家出して主人公とラブコメやってるうち日数が経って、適当なところで帰ってきて互いが適当に察して適当になし崩しで解決してしまっている。家出に至った行き違いの原因とか、家出にどういう意味があったとか、シナリオの流れで最も重要なはずの部分が見事なまでにスルーされているため結局何がやりたかったのかさっぱり分からない。


英理子先生ルートは教師と生徒の間での関係が問題になるという定番パタンだが、露見するきっかけは修学旅行中の浜辺でサンオイル塗っていちゃついていたことだという始末で、最早本気で隠す気があったのかさえ疑問。これで今までばれてなかったとかいう事の方が意味不明。
シナリオの共通点からまた「雪桜」の美里先生シナリオを引き合いに出すと、同じように露見した後の展開はまあこれはこれで雪桜もかなり無茶苦茶な手段だったと思うのだけど、主人公その他の貫徹した姿勢による積極的解決だからこそ好感が持てた。それに対して英理子先生ルートは最終的にただ「今回はお咎め無し」で終了。というか理事長も言うことそれだけかよっっ!�堯福陰Α院�


真由シナリオは終盤の肝にもなるバイト詰めの理由「金銭的に不自由しているご家庭(@学園特警デュカリオン)」という設定がまずもってよく分からない。
父親が借金を残してる+母親が病気がちとかいうならともかく、母親に出稼ぎの仕事もあって娘がバイト三昧という状態なら裕福ということはないにしろ絶望的な貧窮という状況は見えない。
妹の翼ちゃんのことを考えてとか色々と推測しうる要因はあるが、具体的なことが何一つはっきりしないままにただ真由が進学を諦めているという結果だけが唐突に現れると取ってつけたような感が残る。そして理由が具体性に欠けるため主人公の説得も当然抽象的な域を脱しえず、最後まで全くその具体的内容が出てこないため言葉にも説得力が無い。


つまるところ問題がどれもこれも全て漠然としすぎていて唐突に始まったかと思ったらほとんど何もしてないのにいつの間にか解決しているためそもそも何を悩んでいたのか理解に苦しむ。


シナリオ同士の横の繋がりも不可解で、たとえば真由貧乏設定について妹の翼ちゃんも「(自分たちは)牛丼も滅多に食べられない。」という発言をしているし、家にはダイヤル式の骨董品級テレビしかないという。しかしその翼ちゃんは牛丼食べる余裕も無いはずなのにゲーセンに通っており対人戦で常勝する腕。そのゲームは友達に本体ごと借りて真由と家でやっているらしいがダイヤル式テレビでゲーセンと同じ現行の格闘ゲームが動くようなPSクラスのマシン使っているというのも謎。
また、娘がこの学園へ通うことに反対していた香澄の父親は英理子先生ルートでこの学園の理事長と判明。平然と自分が理事長やってる学校に通わせたくないとか言う輩は娘の教育をどうこう言う以前に腹を切って死ぬべきである。(今の学校に危機意識を持って思案しているとかいうなら別だが)


そしてこのゲーム、終盤でセーブ画面のゲーム内日付表示を見て意識するまで吾輩は秋だということを全く認知していなかった。10月18日とか書いてあるのにふと気付いたことでようやく「そういえばタイトル秋色だったな」と思い出す。
秋だからといってジャポネスレクリエーション栗拾いをするわけでもなければオチバミに行くわけでもないし、学園ものの秋ではお約束と言える文化祭や体育祭といったイベントも無いので季節を認識する機会が無い。日常描写でも秋だと思い起こさせるものはほとんど無かった。


代わりに修学旅行がこの時期に挿入されており、修学旅行先はハワイでスケジュールも全日全時間自由行動のみなので海や水着を満喫するイベントはしっかり入っていた。
…どこが秋色なのか。


テキストにしても例によって「〜のは言うまでもない」という、吾輩にとってはヒロインのら抜き言葉以上といえる地雷を踏んだりしている。DMFのときも思ったがギャグシーンならともかくシリアス進行のモノローグでこの言い回しをするのは勘弁してもらいたい。
吾輩が最も好きな主人公であるP17n*2の射場荘司なんかもやたらに説明的なモノローグを綴るが、荘司は元からそういうことを一々認識せずにはいられない不器用な人間である。吾輩があのゲームを好きな数多の理由のひとつがまさに徹底的に一人称に徹していることであり、それゆえの主人公との同調とそれゆえの剥離の両方を含めてP17nを愛しているといっていい。
表現手段としてのマルチサイト自体は構わないが、区別ははっきりしてほしい。モノローグならばそれは他人に対してでない自分の中でのモノローグに徹するべきであり、たとえ自分に話しかけているにしてもその真摯に受け止めるべき部分を「〜のは言うまでも無い」と投げ捨てることはありえない。


という感じで、どうにもキャラクター造形以外には不満ばかり。
牛丼お嬢は好きだし絵とキャラ立てと声は良いと思うのだが、それだけにほかの部分が駄目尽くしなのは残念。


というわけで吾輩としては「やはりPurpleはPurpleか」という感が拭えない。
文句ばかり書いたけれど妙に評判が良いようなので期待しすぎたのが拙かったのであり、むしろPurpleにしてはかなり上出来だとは思う。


*1:Purpleは大抵FD出してる気もするが。

*2:GGXXにも関わっているアークシステムワークスの「Prismaticallization」。吾輩の最も好きなゲームでもある。