涼宮ハルヒの恐喝

KBS京都 涼宮ハルヒの憂鬱

第03話「涼宮ハルヒの憂鬱II」

京アニの技術が冴え渡る、今期一番の注目株……だったのだけど。
この第三話の恐喝で一気に引いた。


さすがに私欲でただの卑劣な犯罪行為に及ぶヒロインと、それを実質スルーする主人公及び世界観は受け入れようがない。主人公は一部始終見ていながらただやりすぎだとごちるだけで言われるまま戦利品を運用するし、守ると宣言した直後にみくるが素で泣かされても正面から追求さえしない。この卑劣ぶりは後のために狙った描写なのか知らないが、今回観た限りで話の筋としてその部分を「忌むべきもの」らしく描写していないのは不快でしかなかった。
我が道を行くというのはいい。多少強引にでも物事を為すというのも悪いだけではない。流され体質の主人公に尻拭いをさせるだけなら、主人公を流し切るだけの資質を持った勝ち気ヒロインにとってはむしろ美徳と言っていい。傍若無人系ヒロイン自体は姉属性と親和性があって吾輩は本来嫌いではなく、実際前回までの時点ではさほど気にならなかった。*1
しかし、無辜の市民から悪意の嘘と脅迫で略奪するのは度し難い。
自分の力として使えるものを正当に使うのならそれこそご都合主義の先天的才能でも家の財力でも何だかんだ言って慕ってくる手下でも落ちモノ的な妄信万能従者でも(話として面白いかはともかく)いいと思うが、今回の話にはそういった己の行動への責任や前提としての信頼といったものがほとんど感じられない。それは我道を行くための最低限の資格だと思う。


要するに、無能なのに尊大なハルヒがそれゆえに他人を害する過程は見ていて気持ち悪かった、ということである。スポーツ万能などの描写はあったが本件について全く役に立ってないし、“流されてる主人公にフォローさせる能力”が無いことはハルヒの行動を鑑みれば十分に無能と言える。そしてこの主人公にもハルヒに流されていることへの責任感が無さすぎる。今回見せられた行動は普通に考えても合理的でないし、情緒的に見れば尚更酷い。だからもう吾輩はこの流れを唾棄すべき「悪」としか認知できなかった。


まあ悪は悪で物語としては使いようだと思うのだけど、この救いの無い悪辣さを否定する文脈(原作は未読だけどアニメ見る限り)がみられないあたりに某自由を極めた最強コーディネイター様一味の扱いと同種の不気味さを感じる。その後われもの第3話は結局観なかったし、このままだと吾輩はこれも切って今期のアニメについてほぼ全滅状態になりそう。


*1:肝心な部分が分からなかったから保留していたという面もある。